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「まずはオーソドックスに真っ向勝負で再戦をさせてもらうぜ」
依頼を持ってきた翌日の昼休み、一本槍が結社前に車でやってきた。
「ホサ、色々突っ込みたいトコ満載なんだけど、どこから突っ込めばいいの……」
「ふつーに、テメェ16歳のクセに車コロがしてんじゃねぇよ! って言えばいいと思うです」
頭を抑える八百屋に、妙に堂に入ったチンピラ言葉で村形が答えた。
「ついでに、その車は何処から調達してきたのか聞きたい所なんじゃが?」
最近車両の窃盗が増えてるとの情報から、一本槍に疑惑の視線を送るのは北胤・海火。落ち着いた雰囲気と年寄りじみた口調から、一本槍とは別の意味で年齢詐称疑惑があがっている。ちなみにキレたら凄いだろう、とは一本槍と漣の弁だ。
先日は所用で顔を見せなかったが、メールで依頼の件を知り今回参戦となった。
「大丈夫だ。このシルビアは知り合いの走り屋からちょっと無許可で借りただけだ。依頼が終ったらしっかりと返すぜ」
「それ、どっちにしろせっと」
「しっ村形、それ以上言うな。どこに国家権力の走狗がいるとも限らねぇんだぞ!」
「一応罪の意識はあるみたいね。ところで勝算のほどは?」
「まかせろ。昨日の夜、寮の娯楽室でグランツーリスモを制覇してきたぜ」
ああ、こらアカン。こいつホンマもんの阿呆や。一本槍以外の全員の思考がシンクロした。
そんな空気に気づかずに、テンションをマックスにまで上げた一本槍が勢いよくスタートすると、あっという間に走り去っていった。
「そういやだんちょー腕の怪我って治ってたです?」
「あ」
村形の当然の疑問に結社員の声が重なった。
気まずい沈黙が続く中、どこからともなくなにか重いものがぶつかる音、しいて言うなら交通事故が起こったような音と、屠殺される豚のような悲鳴が鎌倉の青空に響いた。
一本槍が天に召された翌日、八百屋が大きなトランクを持ってやってきた。
「あたしの作戦はいたってシンプルよ。とりあえず男連中、今すぐ脱ぎなさい」
「はっ? 何を言っているのですか八百屋さん」
「米さんもお歳とは言え女。やはり色っぽい男にはクラっときて思わず止まってしまうに違いないわ。そこを狙ってパンを買えばいいのよ。わかった? じゃ今すぐコレに着替えなさい」
そう言いながらトランクをあけると、ホストが着るようなスーツがぎっしり。
「なんか、これどっかで見た気がするんだけどぉ?」
「そりゃあアザレアのリビングデッドから直に剥いだものだもの、見覚えがあるでしょうよ。地下に沢山いたから根こそぎひん剥いてやったわ」
「彼らですか……惨い事をしますね」
地下3階に居るリビングデッド6人衆に、漣は心の底から同情した。
「うだうだ言ってないで早く着替えなさいよ。嫌なら私が、今ここで脱がすわよ。っていうか脱がす!」
「お婿に、お婿にいけなくなっちゃうー!」
「せ、せめて屋内で着替えさせてもらえんか!」
「忍法隠れ身の術。って効いてない!?」
男たちが反応するより早く、イグニッション全開にした八百屋が男たちを千切っては投げ千切っては投げ、手早く着替えさせた。
「うん、流石あたし。皆なかなか似合ってるわよ」
「なんというか……八百屋、妙に活き活きしとらんか?」
「気のせいよ」
強めの香水をつけリビングデッドのかぐわしい腐臭を誤魔化し、薄く化粧をして準備が終わった。後はただターゲットの到着を待つばかり。
道の先を見れば、砂煙を上げながら接近する影がある。
「よっし、皆頼むわよ!」
道を塞ぐように立ち、思い思いの悩殺ポーズを展開する。ちなみにコレも八百屋の作戦だ。
あっという間に米粒ほどだった三輪が目の前まで迫り、あわや追突、と思われた瞬間高い音を立てて急制動がかかった。
「よし、止まった! 作戦道りよ!」
「ちょ、怖い、怖いってぇ。なんか目が爛々としてるんですけどぉ!」
「ぬぅ、ゴースト以上のプレッシャーじゃ。このご老体、できるのう」
「北胤さん、そんな悠長にいってる場合じゃないと思いますけど、って来てる、こっち来てますよ!」
電光石火。目にも止まらぬ速さで米倉米の手が伸び、1人の男の腕をむんずと掴む。その腕は、北胤。
「へー、ハスッパなようで実は真面目系が好みなのね、米さん」
「あの、れーせーに分析してないで助けないですか? なんか北胤さんがこの世の終わりみたいな顔してるですよ?」
「雛子、見ちゃ駄目よ。これから先はもう少し大人になってからね」
八百屋が片腕でもって村形を目隠しする。なぜ片腕かと言うと、もう片方には携帯を持っているから。もちろん、写真を撮るために、だ。
「な、に? いや、ご老体、やめ、あ、そんなご無体な! ぎゃああああ!」
漣と篠田はその地獄絵図にただ身を寄せ合って震えている事しか出来なかった。
今日もまた、鎌倉の青空に悲しげな悲鳴が響き渡る。
「さ、最後の一線だけは、守り通した」
10分後、力尽きた北胤を男たちが介抱する中、村形が呆れきった口調で呟いた。
「パン、買い忘れてるですよ?」
「あ゛」
「っていうかだぁよ、周りくどいことしてねぇで正面からイグニッションして襲っちまえば早くねぇのぉ?」
北胤が殉職した翌日、アヒル口は突き出して言ったのは篠田。まっとうな意見に全員が、なるほどと手をうった。
「最初からぁそうしてれば北胤も汚されなくて済んだんじゃねぇのぉ?」
「言わないで篠田君。あれは尊い犠牲だったのよ! 彼の犠牲を無駄にしないためにも、あたしたちは過去を振り返らず未来に突き進まなければならないの!」
涙を流しながら青空を指差し、微笑む北胤の顔を幻視する。
「尊いとかそれ以前に、その携帯のメモリの消去をお願いしたいのう」
本気の目と、口元だけに微笑を貼り付けた北胤が八百屋の肩を叩いた。目をそらして口笛を吹く八百屋の肩をみしみし言わしながら、貞子さん以上に怨念の篭った瞳で凝視する。
「おらおら、写真の事は後で2人で解決しやがれ。もう奴が着ちまう時間だぞ。さくさくイグニッションしやがれ」
手を叩きながらミイラ男もとい一本槍が声をかける。それもそうだと北胤を除く全員がうなずくと、それぞれイグニッションカードを天に向けるなど、思い思いの格好をして叫ぶ。
「イグニッション!」
全員の声が重なる。若干一名声がやたらダークトーンだったのだが、誰も気にしない、というか気づかないフリをする。
「くくくくく、シルビアと俺の仇、ここで晴らすぜ」
「人生の先達とは言え、奴を葬る事にもはや何の痛切も感じぬ。忌まわしい記憶ごと滅殺してくれるわ」
「いや、あの北胤さん? 殺しはまずいですよ、殺しは。後処理が面倒じゃないですか」
「つっこむところが違うと思うのです」
「しっ、雛子、一々突っ込んでたら終らないわ」
「今日もまた一段とメイド服が身体になじむぜぇ」
相変わらずの漫才を繰り広げながらも、全員が気を高めていく。
「盛り上がってる所悪いんですが皆さん、こんな天下の往来でなにをしていらっしゃるのですか?」
突然、身も凍るような圧力が一本槍たちの背後に出現した。やけに重く感じる首でゆっくりと振り返った先には、
「げ、デコっち!」
「一本槍先輩、その呼び方は止めてくださいと前に言ったはずですが?」
能面よりも無表情な顔でデコ、もとい美凪・沙紀が仁王立ちしていた。風紀委員、かつ運命予報士でもある彼女は能力者たちとは面識がある。クールな 印象と眼鏡、さらにはその果てしなく広大な額でもって一部の生徒からは絶大な支持を集めているとかいないとか。あの冷たい視線でなじられたい、と言うのが 彼らの言い分だ。銀誓館はもう駄目かもしれない。
美凪の後ろには風紀委員の前鬼後鬼の異名をとる、グリ、グラ兄弟が六角棒を持って待機している。子供向け絵本に出てくるような名前とは裏腹に、そ の姿はゴツイの一言に尽きる。2m近い身長、隆起した筋肉、見事なスキンヘッド、鋲つきの革ジャン、まるで世紀末にバギーに乗って種籾とかを強奪していそ うな風体だ。これで美凪よりも年下だというのだから、世界は不思議に満ちている。
「というか、私たちの注意より先に、そこのお2人を注意する事をお勧めしますよ、美凪さん」
「この格好がお2人の正装かつ戦闘服なのです。変な言いがかりはよしてください漣先輩」
戦闘服がメイド服、という男がすぐ隣に居るだけにぐうの音もでない。仲間たちの白い視線に篠田は目をそらしてわざとらしく口笛を吹きだした。
「とりあえず、皆さん? こんな昼間からのイグニッション、当然禁じられているのはご承知ですよね?」
「いや、これはあれだ依頼でだな」
「いい訳無用! 連日の往来での乱痴気騒ぎ、天が許してもこの風紀委員の私が許しません! グリさん、グラさん、とっちめておやりなさい!」
「承知っ!」
「ええい、こうなっちまったら仕方ねぇ。やっちまえ野郎ども!」
10人に聞けば10人が越後屋、もしくは野盗の頭領な台詞を一本槍が吐く。ちなみにこんな台詞を吐いた悪役がどういった末路を迎えるか、言うまでもない。
結局、昼休みから放課後までグリグラ兄弟、増援として現れた10人以上の風紀委員実行部隊とガチンコバトルを繰り広げた挙句、数の暴力によってあ えなく御用となった。簀巻きにされ、ハイホーハイホーと連行された先でこってり絞られた上に、1週間におよぶイグニッションカードの没収、自宅謹慎を言い 渡された。
依頼は当然の如く流れた。
「あ、一本槍先輩、警察から呼び出しが来てるので後でちゃんと出頭してくださいね」
踏んだり蹴ったりである。
終わっとけ。
正直スマンかった。
いや、あれだ、バイト明けに酒かっくらって勢いで書いてしまったので、基本的に皆のキャラが壊れ気味。
北胤……べ、別にお前に恨みがあるとかじゃなくてな、なんつーかノリっていうか酒の勢い、一夜の過ち、みたいな? 笑って許してくれると俺的に凄く嬉しかったり……いやスマンかった。今回は真面目に修正削除を絶賛受付中。
ちなみに美凪もといデコは実際に居る運命予報士だぜ。ちっと存在がレアだが探せばいるはずだ。グリグラ兄弟は某漫画から名前を拝借。風紀委員実行部隊はまたしても俺の妄想。デコが風紀委員というのもさらに妄想。
かなり爆笑して読んだよ~。
リビングデッド6人衆は想像して涙出た(笑って)
依頼に中々入る余裕のないあたし的にはすごく得した気分だよ!
携帯のメモリは消去しないといけないね。ゾクゾク。
つ【http://t-walker.jp/mugefan/html/status.cgi?chrid=a50562】
つ【http://t-walker.jp/mugefan/html/status.cgi?chrid=a50563】
ぐりとぐら。二人は仲良しなのです。
銀雨の方では流石に居なかったけど。
八百屋
6人衆、笑ってもらえたようで恐悦至極だぜ。リビングデッドっていうとアレが真っ先に思い浮かんだもんで、犠牲になってもらった。
写真は……まぁ女子寮の暇人たちに流すなり写真部に売りつけるなり、まぁ北胤にばれないように頑張れ。
北胤
怒られるかとちっとビビッテたんだが、楽しんでもらえたようでなによりだぜ。
婆さんは、まぁ事件にならない程度に頑張って復讐してくれ。捕まえられたら、だがな(ニヤリ)。
二重投稿とかは別に気にしなくてもいいぞぉ。
村形
いやなんか、突っ込み役っていったら村形のような気が……八百屋も漣もボケキャラっぽいし、今回北胤はアレだしで、これからも突っ込み役で活躍してもらおうかと思っていたり。
つーか無限でいたんだなぁグリグラ。基本的にNPC以外で名前出す場合は図書館で名前かぶらないか検索してからやってるんだが、無限までは見て無かったわ。
漣
確かに、皆結社ではかなり壊れだからな。キャラ設定としては結構ハードな人生送っててもここでは皆ギャグに走るし。いや、いい事だがな。
追記
やっぱ銃道商店の仲間を出すとギャグになっちまうなぁ。いや俺がシリアス書いても悲惨になるだけだから、とても他の人出せないってのもあるんだが。