このページは株式会社TOMMY WALKERが管理運営するシルバーレイン、エンドブレイカーにて活動中のキャラクターに関するブログです。ゲームの内容をご存知でない方、興味がない方はお戻りください。
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二月二日、立春も間近とはいえまだまだ冬真っ盛りの銀製学園校門に、私服姿の少年が立っていた。染めているのか、ツンツンと尖った髪は日本人にあるまじき 金髪だ。意思の強そうな瞳、広いデコ。この寒い中袖なしのシャツ一枚で突っ立っていられるのは、体温の高い子供ゆえの特権か。
「二月八日に戦争があって、メガリスを壊さなきゃいけないんだって? なら、これを壊しなよ。「闘神の独鈷杵」っていう、やっかいなメガリスなんだ」
やっかいなモンを親しくもない奴に渡すな。一般的にそういう行動を厄介払いと言うんだ。
心中で突っ込みを入れながら、一本槍は校門へと近づく。変人には係わり合いになりたくないが、ここを通らねば目的地へ行けない。
「『大いなる災い』を食い止められないと、関東一円が滅ぶかもしれないんだって? やってきていきなり重大な戦争に参加できるなんて、運がいいんだか悪いんだか。戦争が終われば、次はバレンタインデーか。知ってるよ、そういう行事にも決して手を抜かない事も、銀誓館学園の「強さ」の秘密なんだろ。そういうとこも、学ばせて貰おうかなと思ってるよ」
ヘッドフォンから音が漏れていた。周りの声など聞こえないだろうに、なにやら熱っぽく少年は語っている。同意が欲しいのでもなくただ話したいだけのようだ。あきらかに変人の所業といえるが、周りの生徒は特に気にする事もなく通り過ぎて行く。
彼のような人間は銀誓館では珍しくないどころか、吐いて捨てるほど居る。多いときは数日、短いときは半日程度彼らは校門の前で壊れたラジオのようにがなりたてる。
学園生徒は入学するとまっさきにこの奇人変人たちの扱いに慣れる。
曰く、気にしたら負け。
先輩達の薫陶篤い学生たちは、今や誰も足を止めない。
一本槍も無視して通り過ぎようとしたのだが、
「ところで僕は何者かって? そんな事はどうでもいい。この湖東・七志、『白虎拳士』の力を皆の為に振るうことを誓おう」
「名乗ってんじゃねぇか!」
つい全力でもって突っ込みを入れてしまった。
「って事があったんだ」
「律儀な」
ぎこぎこと椅子を揺らしながら語る一本槍に、前に座っている和服女性が呆れ混じりに返した。
一本槍が主に溜まり場に使っている結社『闇夜の猟犬』が拠点にしている空き教室だ。現在教室に居るのは一本槍と、ため息混じりに返事をした朔月緋雨、それと前団長である柊楓のみ。
「いや、あのアホっぷりには突っ込まんといかんだろう。常識的に考えて」
「『突っ込んだら負け』よ。貴方もここは長いんだからもう少しスルー技術を磨きなさい」
柊も朔月に負けず劣らず呆れ顔だ。
――おかしい。あれは関西人じゃなくても突っ込まなければいけないだろう。こう、人として。もしかして俺だけ変なのか?
「しかし、白虎拳士か。調べて見たが中々に面白い技を使う」
「連携技ね。でもこれ負担が多すぎて使いづらいわ」
懊悩する一本槍を置いてきぼりにして、女性二人はさっさと新たな仲間の分析に入った。女性同士の会話なのに花がない。
「ん、何かしらこれ。電光剣? 面白い武器ね。……ライトセイバー?」
柊が呟いた単語を一本槍は聞き逃さなかった。
「なに、そんな面白武器が入ったのか。どれどれ」
それは円筒形の、まるで懐中電灯のような物体だった。剣、というからにはこれは柄で、白虎拳士たちが持つとフォースで刀身でも出るのだろう。
はて、と首を捻った。他にも何かこれと似たような武器を使っていたキャラクターがフィクションの世界に存在したような。
唸り声を上げながらパイプ椅子を揺らしていたら、物の弾みで椅子ごと倒れてしまった。
「って!」
倒れた拍子に視界が本棚に移った。暇つぶし用の書籍が分類ごと綺麗に整頓されている。実用書が過半数だが、隅のほうに一本槍が持ち込んだ漫画や娯楽小説の類もあった。
瞬間、一本槍に電流走る。
「今、俺は驚きの真実を知ってしまった!」
「なによ突然」
跳ね起きた一本槍を、柊と朔月が胡乱げに見上げた。
「いいか? 校門にいた奴は白虎。電光剣を使える。こいつは見たとおりのビユーンな剣だ。加えて奴はアホの子。つまり、だ。奴はスレイヤーズのガウリィのパチモンキャラだったんだ!」
「頭冷やしなさい」
「付き合い悪いぜ団長。そこは、な、なんだってーって続けるところだ」
「なによそれ」
「知らないのか? MMRっていうトンデモ漫画のネタだ。ちなみにスレイヤーズはそこの本棚にあるラノベな」
妙なコネを持つ一本槍。ヤクザからヲタクまで幅広い人脈に、支え、育てられた彼の頭脳は結構残念な事になっていた。彼を見つめる女性陣の目が、呆れから可哀想なモノを見る目へと変わる。
「こいつは恐るべき真実だ。学会に発表してもいいな」
「どこの学会よ」
「うーん、無理か。世界結界がやばい。んじゃ、学園大手の情報結社、Archivesにでも持ってくか。サク、案内頼む」
「断固として拒否する」
自分まで同類にされては適わぬと、件の結社に所属している朔月が拒絶する。
戦争を間近にひかえたある日の出来事。学園は今日も今日とて平和だった。
電光剣は面白武器。ぜひ皆も白虎になって使おう!!
電光剣 (「でんこうけん」。魔力を込める事で電光の刀身が現れる、特殊な棒です。)
やっかいなモンを親しくもない奴に渡すな。一般的にそういう行動を厄介払いと言うんだ。
心中で突っ込みを入れながら、一本槍は校門へと近づく。変人には係わり合いになりたくないが、ここを通らねば目的地へ行けない。
「『大いなる災い』を食い止められないと、関東一円が滅ぶかもしれないんだって? やってきていきなり重大な戦争に参加できるなんて、運がいいんだか悪いんだか。戦争が終われば、次はバレンタインデーか。知ってるよ、そういう行事にも決して手を抜かない事も、銀誓館学園の「強さ」の秘密なんだろ。そういうとこも、学ばせて貰おうかなと思ってるよ」
ヘッドフォンから音が漏れていた。周りの声など聞こえないだろうに、なにやら熱っぽく少年は語っている。同意が欲しいのでもなくただ話したいだけのようだ。あきらかに変人の所業といえるが、周りの生徒は特に気にする事もなく通り過ぎて行く。
彼のような人間は銀誓館では珍しくないどころか、吐いて捨てるほど居る。多いときは数日、短いときは半日程度彼らは校門の前で壊れたラジオのようにがなりたてる。
学園生徒は入学するとまっさきにこの奇人変人たちの扱いに慣れる。
曰く、気にしたら負け。
先輩達の薫陶篤い学生たちは、今や誰も足を止めない。
一本槍も無視して通り過ぎようとしたのだが、
「ところで僕は何者かって? そんな事はどうでもいい。この湖東・七志、『白虎拳士』の力を皆の為に振るうことを誓おう」
「名乗ってんじゃねぇか!」
つい全力でもって突っ込みを入れてしまった。
「って事があったんだ」
「律儀な」
ぎこぎこと椅子を揺らしながら語る一本槍に、前に座っている和服女性が呆れ混じりに返した。
一本槍が主に溜まり場に使っている結社『闇夜の猟犬』が拠点にしている空き教室だ。現在教室に居るのは一本槍と、ため息混じりに返事をした朔月緋雨、それと前団長である柊楓のみ。
「いや、あのアホっぷりには突っ込まんといかんだろう。常識的に考えて」
「『突っ込んだら負け』よ。貴方もここは長いんだからもう少しスルー技術を磨きなさい」
柊も朔月に負けず劣らず呆れ顔だ。
――おかしい。あれは関西人じゃなくても突っ込まなければいけないだろう。こう、人として。もしかして俺だけ変なのか?
「しかし、白虎拳士か。調べて見たが中々に面白い技を使う」
「連携技ね。でもこれ負担が多すぎて使いづらいわ」
懊悩する一本槍を置いてきぼりにして、女性二人はさっさと新たな仲間の分析に入った。女性同士の会話なのに花がない。
「ん、何かしらこれ。電光剣? 面白い武器ね。……ライトセイバー?」
柊が呟いた単語を一本槍は聞き逃さなかった。
「なに、そんな面白武器が入ったのか。どれどれ」
それは円筒形の、まるで懐中電灯のような物体だった。剣、というからにはこれは柄で、白虎拳士たちが持つとフォースで刀身でも出るのだろう。
はて、と首を捻った。他にも何かこれと似たような武器を使っていたキャラクターがフィクションの世界に存在したような。
唸り声を上げながらパイプ椅子を揺らしていたら、物の弾みで椅子ごと倒れてしまった。
「って!」
倒れた拍子に視界が本棚に移った。暇つぶし用の書籍が分類ごと綺麗に整頓されている。実用書が過半数だが、隅のほうに一本槍が持ち込んだ漫画や娯楽小説の類もあった。
瞬間、一本槍に電流走る。
「今、俺は驚きの真実を知ってしまった!」
「なによ突然」
跳ね起きた一本槍を、柊と朔月が胡乱げに見上げた。
「いいか? 校門にいた奴は白虎。電光剣を使える。こいつは見たとおりのビユーンな剣だ。加えて奴はアホの子。つまり、だ。奴はスレイヤーズのガウリィのパチモンキャラだったんだ!」
「頭冷やしなさい」
「付き合い悪いぜ団長。そこは、な、なんだってーって続けるところだ」
「なによそれ」
「知らないのか? MMRっていうトンデモ漫画のネタだ。ちなみにスレイヤーズはそこの本棚にあるラノベな」
妙なコネを持つ一本槍。ヤクザからヲタクまで幅広い人脈に、支え、育てられた彼の頭脳は結構残念な事になっていた。彼を見つめる女性陣の目が、呆れから可哀想なモノを見る目へと変わる。
「こいつは恐るべき真実だ。学会に発表してもいいな」
「どこの学会よ」
「うーん、無理か。世界結界がやばい。んじゃ、学園大手の情報結社、Archivesにでも持ってくか。サク、案内頼む」
「断固として拒否する」
自分まで同類にされては適わぬと、件の結社に所属している朔月が拒絶する。
戦争を間近にひかえたある日の出来事。学園は今日も今日とて平和だった。
電光剣は面白武器。ぜひ皆も白虎になって使おう!!
電光剣 (「でんこうけん」。魔力を込める事で電光の刀身が現れる、特殊な棒です。)
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